愛宕神社本殿 1棟

愛宕神社本殿

愛宕神社は、地元の故千島熊蔵氏によれば、根古屋城を築いた頃に、今の地に祀られたという。

秩父地方は、古来より修験道の盛んな地域であったので、神仏折衷様式の建物が存在するのが当然であるが、遺構は皆無に等しい。この本殿は類例の少ない折衷様式の逸品である。板唐戸が小さく見えるほど高い浜椽や内法長押から高い軒は、社寺建築の常軌を逸脱しているが、全体的に均整を保っているところにこの建物の魅力がある。

柱間1尺8寸5分(56cm)の正方形で、正面と両側の三方を長押と板唐戸とした本殿も異例である。頭貫と台輪で柱頭をかため三つ斗組と蟇股にして桁を受け、桁上端に出し梁を組架け、さらに上端には鼻と桁真に大斗肘木をおき、桁を組架けている。軒はー重、繁垂木屋根は方形柿葺きと思われる。木鼻や蟇股の異形、身舎の蟇股上の桁と大斗肘木上の桁と桁が二重であるが、大斗肘木や垂木は安定感を考慮し、木割を太くしている。宮大工坂本才一郎氏(前埼玉県文化財保護審議委員)によれば、本殿は建造後200年位経過しているという。